お米のこと
お米のこと
寺田本家の酒造りには、契約農家さんが丹精してくれるお米と自社田の米を使っています。
本当にありがたいことに、農家さんのご協力で、平成22BY(2010年)の仕込みより、全量無農薬米となりました。
自社田では、春の田植え会、初夏の草取り会、そして秋の稲刈り会と、
大人から子どもまでたくさんのみなさまの手をお借りします。
最初は田んぼに入れなかった子どもたちも、気がつくと裸足で虫を追いかけています。
たくさんの笑い声につつまれて育ったお米、農家さんの心のこもったお米を使って、冬の酒造りは始まります。
自家田のこと
1980 年代より、自分たちの田んぼでお米の栽培に取り組みはじめました。初めは小さかった圃場は、今では2.5ヘクタールほどになり、寺田本家で使う酒米の約5%がその田んぼで収穫されます。春から秋にかけて、蔵人たちは農家さんの想いや自然の仕組みに少しでも触れたい、という思いで田んぼ仕事をしています。大切に育ててようやく収穫したお米を見ると、一粒一粒を丁寧にお酒にしようと思うようになるものです。
自社田には、小さな山のふもとにある田んぼや利根川に隣接する平地の田んぼなどがあり、様々な環境で無農薬無化学肥料のお米を育てています。川砂の田んぼは地力が低いので、年によっては緑肥としてレンゲソウを蒔いています。春になると、その田んぼ一面が美しい蓮華畑になります。
復田プロジェクト
長年耕作放棄地だった谷津田(やつだ=谷間に挟まれた田んぼの呼称)を2021年2月から1年かけて開墾しました。その田んぼでは、農業用水が整備されていないため、雨水や、湧き出る地下水といった自然の恵みを活かして米作りをしています。
谷津田の周囲には、雑木林や杉林、ため池や小川があります。人が自然と共に生きることで、そこには細やかな環境の違いが生まれ、生き物の多様性が生まれるのです。私たちの開墾した谷津田には、サワガニやホタル、オニヤンマ、渡り鳥のサシバ、ミズカマキリ、目には見えない水中や土中の微生物などが暮らしています。
使っているお米のこと
主に使用しているお米は、美山錦、亀の尾、雪化粧、中生神力、千葉錦、コシヒカリです。高精白のお酒には、美山錦などの酒米と呼ばれるものを使用し、玄米や精米 90%など低精白のお酒にはコシヒカリなどの飯米を使用しています。
昔ながらのお酒を造ろうと、寺田本家のある千葉県でかつて栽培されていた千葉錦や中生神力などの在来種を10年ほど前に国のシードバンクから少量だけ譲り受けて、毎年種取りをして少しずつ増やしてまいりました。背が高くなって嵐の後に倒伏したり、穂が落ちやすかったり、栽培は大変ですが面白く、日々試行錯誤を繰り返しています。